【令和8年分】年末調整の基礎控除は最大104万円に|扶養の壁136万円・非課税ライン178万円を国税庁資料ベースで解説
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結論:2026年(令和8年)12月の年末調整から、所得税の基礎控除が最大104万円(従来58万円)、給与所得控除の最低保障額が74万円(従来65万円)に引き上げられます。扶養親族・配偶者の所得要件も給与収入136万円以下(従来123万円以下)に拡大され、収入がもっとも低い層では所得税がかからない年収ラインが最大178万円まで広がります。これは2026年3月31日に成立した「令和8年度税制改正」に基づく確定事項ですが、月々の給与からの源泉徴収には反映されず、12月の年末調整でまとめて精算される特殊な適用方法のため、「給与が急に増えた/減った」と慌てないための事前知識として整理しました。※本記事は2026年10月5日時点の公表情報をもとに作成しています。実際の控除額・適用関係はお勤め先の年末調整担当または税務署・国税庁の公式情報で必ずご確認ください。
令和8年の年末調整はどう変わる?3分でわかる全体像
2025年(令和7年)に「103万円の壁」が「123万円」に引き上げられたのは記憶に新しいところですが、2026年(令和8年)はさらに一歩進んだ改正が待っています。2026年3月31日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律(令和8年度税制改正)」により、2026年分の所得から基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件がもう一段階引き上げられます。
| 項目 | 令和7年分(2025年) | 令和8年分(2026年) |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除(低中所得者の上乗せ後・最大) | 95万円 | 104万円(令和8・9年限定) |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 58万円以下(給与123万円以下) | 62万円以下(給与136万円以下) |
| 特定親族特別控除(19〜22歳の子)の満額ライン | 給与150万円以下 | 給与159万円以下 |
つまり「2025年に壁が動いたばかりなのに、2026年にもう一度動く」というのが今回のポイントです。年末調整の計算方法そのものが複雑化しているため、会社員・パート・その家族それぞれに影響があります。
基礎控除は最大104万円に ─ 所得別の変更点
基礎控除は、合計所得金額に応じて段階的に金額が変わります。令和8年・9年分は「物価高対応の時限措置」が加わるため、特に低中所得層で手厚くなります。
| 合計所得金額 | 令和7年分の基礎控除 | 令和8・9年分の基礎控除 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超336万円以下 | 段階的に減少 | 段階的に減少(上限104万円) |
| 336万円超489万円以下 | 58万円 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 58万円 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
| 2,350万円超2,500万円以下 | 段階的に減少 | 段階的に減少(従来の仕組みを維持) |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 |
注意:所得489万円以下の「+42万円」「67万円」への上乗せは令和8年・9年分のみの時限措置です。令和10年(2028年)分以降は基礎控除が本則の62万円に戻る可能性があるため、今後の税制改正の動向を継続して確認する必要があります。
給与所得控除の最低保障額も74万円に
会社員・パートなど給与収入のみの人は、給与所得控除(給与収入から自動的に差し引かれる控除)も受けられます。この「最低保障額」(収入が低い人でも最低限保証される控除額)が65万円から74万円に引き上げられました。
| 項目 | 改正前 | 令和8年分以降 |
|---|---|---|
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 対象となる収入帯(目安) | 年収190万円以下 | 年収190万円台以下(目安) |
| それより収入が多い場合 | 段階的な計算式(変更なし) | 段階的な計算式(変更なし) |
給与収入のみの人が所得税を払わなくて済む年収ラインは、「基礎控除+給与所得控除」の合計で決まります。もっとも低い所得層では104万円(基礎控除)+74万円(給与所得控除)=178万円となり、ここが2026年分の「所得税ゼロの上限年収」の目安です。※実際の給与所得控除額は収入に応じた計算式によるため、178万円はあくまで低所得層における目安の数字です。
扶養・配偶者の「壁」はどう動く?103万→123万→136万円
「扶養から外れる年収の壁」は、改正を重ねるたびに動いています。これは扶養される側(パート・学生等)の所得が、扶養する側(親・配偶者)の税負担にどう影響するかの基準です。
| 時期 | 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 給与収入のみの場合 |
|---|---|---|
| 〜令和6年(2024年まで) | 48万円以下 | 103万円以下 |
| 令和7年(2025年) | 58万円以下 | 123万円以下 |
| 令和8年(2026年)〜 | 62万円以下 | 136万円以下 |
給与収入136万円は、基礎控除62万円+給与所得控除最低保障74万円=136万円という計算から導かれています。つまり2026年は、パートで働く配偶者や学生の子が、年収136万円までなら「扶養親族等」として扱われ、本人(世帯主)の税負担に不利な影響を与えないラインが広がったことになります。
注意:これは所得税における扶養親族等の判定基準であり、社会保険の「106万円の壁」「130万円の壁」とは別の制度です。両方の基準を混同しないようにしましょう。
19〜22歳の子がいる家庭は要注意 ─ 特定親族特別控除の壁も変わる
2025年に新設された「特定親族特別控除」(19〜22歳の子のアルバイト収入が増えても、親の控除が一気にゼロにならないようにする仕組み)も、2026年分でさらに拡大されます。
| 子の給与収入(年収) | 令和7年分の取り扱い | 令和8・9年分の取り扱い |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 特定扶養控除 満額63万円 | 特定扶養控除 満額63万円 |
| 136万円超〜150万円以下 | 特定扶養控除 満額63万円 | 特定親族特別控除 満額63万円 |
| 150万円超〜159万円以下 | 特定親族特別控除(段階的に減少) | 特定親族特別控除 満額63万円のまま |
| 159万円超〜188万円以下 | 特定親族特別控除(段階的に減少、188万円で消失) | 特定親族特別控除(段階的に減少) |
| 188万円超〜197万円以下 | 適用なし | 特定親族特別控除(段階的に減少、197万円で消失) |
つまり「子が年収159万円まで働いても、親の控除(63万円)は満額のまま」になり、完全に控除が消える上限も188万円→197万円に広がりました。大学生年代の子がいる家庭にとって、アルバイトを増やしやすくなる改正といえます。
シミュレーション:年収別にいくら変わる?
具体的なケースで、2025年基準と2026年基準の違いを確認しましょう。
- ケースA:パート年収150万円の主婦(世帯主の所得は500万円程度)
2025年基準でも低所得層向けの上乗せ(基礎控除95万円+給与所得控除65万円=160万円)により、本人の所得税はすでにゼロ。2026年基準(104万円+74万円=178万円)でも同様にゼロ。本人の税負担は変わらないが、非課税の「のりしろ」が150万→178万円分に広がり、より安心して働けるようになったのがポイントです。 - ケースB:大学生の子(20歳)がアルバイトで年収155万円
2025年基準では150万円を超えているため、親の特定親族特別控除は段階的に減少(満額63万円から数万円程度減)。2026年基準では159万円まで満額が維持されるため、親の控除は63万円のまま変わらず、世帯の税負担(所得税+住民税)で数千〜1万円程度軽くなる可能性があります。 - ケースC:会社員(本人の給与収入500万円程度、妻がパートで年収130万円)
2025年基準では妻の年収130万円は「扶養親族等の所得要件(給与123万円以下)」を超えているため、夫の基礎控除への上乗せ判定等で不利に働く場合がありました。2026年基準では136万円以下に拡大されたため、妻の年収130万円でも要件内に収まり、夫側の税負担が軽くなる可能性があります。
※上記はいずれも制度の仕組みを説明するための簡易シミュレーションです。実際の税額は世帯の所得・各種控除の組み合わせによって異なります。正確な金額は年末調整の結果(源泉徴収票)または税務署でご確認ください。
知らないと危険な注意点
- 住民税は変わらない:今回の改正は所得税のみが対象で、住民税の基礎控除(43万円)や非課税ラインは変更されていません。「所得税はゼロなのに住民税はかかる」というズレが2026年もそのまま続きます。
- 月々の給与では反映されない:令和8年分の改正は、毎月の源泉徴収税額には反映されず、2026年12月の年末調整でまとめて精算されます。改訂された源泉徴収税額表は2027年1月以降支払いの給与から適用される予定です。つまり、2026年1〜11月は従来の(やや多めの)税額で源泉徴収され続け、12月の年末調整で一気に還付されるイメージです。
- 時限措置である点:基礎控除の上乗せ(最大104万円)は令和8年・9年分の2年間限定です。令和10年以降も同じ金額が続くとは限りません。
- 申告書の記入欄が変わった:国税庁は2026年6月30日に、令和8年分の「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「特定親族特別控除申告書」等の様式を公表済みです。会社から配布される申告書が従来と見た目が変わっている場合がありますが、最新の様式で問題ありません。
- 社会保険の壁とは別物:本記事の136万円・159万円といった数字は所得税の扶養要件の話であり、社会保険の「106万円の壁」「130万円の壁」(→ 106万円の壁撤廃の詳細はこちら)とは別の制度です。両方を混同すると判断を誤ります。
今すぐやるべきことチェックリスト
- 会社から配布される年末調整の申告書を確認:「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「特定親族特別控除申告書」の記載内容が令和8年分の新基準になっているか確認
- 自分と家族の年収を再確認:特にパートで働く配偶者・19〜22歳の子がいる家庭は、136万円・159万円・197万円のラインと実際の年収を照らし合わせる
- 控除証明書を揃える:生命保険料・地震保険料・iDeCo等の控除証明書は例年どおり必要(→ 年末調整の提出書類チェックリスト)
- 12月の給与・源泉徴収票を確認:改正の効果はほとんどの場合12月の給与でまとめて反映されるため、通常より還付額が大きくなる可能性がある点を把握しておく
- 住民税の通知書も確認:翌年6月頃に届く住民税の決定通知書では、基礎控除が43万円のまま(変更なし)であることを前提に金額を確認する
- 不明点は会社の労務担当・税務署へ:控除の適用関係は家族構成・所得によって個別性が高いため、自己判断が難しい場合は年末調整担当者や最寄りの税務署に確認する
Q&A よくある疑問
Q:2025年に103万円の壁が123万円になったばかりなのに、また変わるの?
A:はい。2025年度改正と2026年度改正は別の法律による段階的な改正です。2026年分からは扶養親族等の所得要件がさらに136万円(給与収入)まで広がります。
Q:基礎控除104万円は全員が対象?
A:いいえ。合計所得489万円以下(給与収入でおおむね665万円以下が目安)の人が対象で、所得655万円超2,350万円以下の人は62万円、2,350万円超は従来どおり段階的に減少します。
Q:いつから適用される?
A:2026年(令和8年)分の所得から適用されますが、月々の源泉徴収には反映されず、2026年12月の年末調整でまとめて精算されます。
Q:会社に何か特別な手続きを求める必要はある?
A:基本的には会社が配布する年末調整の申告書に正しく記入するだけで自動的に適用されます。特別な申請は不要な見込みですが、記入内容(特に配偶者・扶養家族の所得見積額)は最新の基準で記入しましょう。
Q:住民税も136万円に変わる?
A:いいえ。今回の改正は所得税のみが対象です。住民税の扶養要件・非課税ラインは別の基準のままなので、所得税と住民税で判定が異なる場合があります。
Q:確定申告をする人(自営業・フリーランス等)にも関係ある?
A:はい。基礎控除の引き上げ(最大104万円)は確定申告でも同様に適用されます。2027年に提出する令和8年分の確定申告から反映される見込みです(→ 確定申告2026年版の変更点はこちら)。
まとめ ─ 2026年10月時点の要点
- 2026年3月成立の令和8年度税制改正で、所得税の基礎控除は最大104万円(従来58万円)に引き上げ
- 給与所得控除の最低保障額は74万円(従来65万円)に引き上げ、低所得層の非課税ラインは最大178万円に
- 扶養親族・配偶者の所得要件は給与収入136万円以下(従来123万円以下)に拡大
- 19〜22歳の子の特定親族特別控除は満額159万円・消失197万円にラインが拡大
- 基礎控除の上乗せ(最大104万円)は令和8・9年分限定の時限措置
- 住民税は変更なし。所得税との「ズレ」に注意
- 効果は2026年12月の年末調整でまとめて反映され、月々の給与では分からない
2年連続で「年収の壁」が動く珍しい年になりました。当サイトでも、令和9年以降の時限措置の扱いなど続報を追いかけて更新していきます。
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